体の中に異物をお迎えした。というと妊娠か何かと勘違いされそうなのだけれど、有機物ではないです。無機物です。口のなかにお迎えしました。毎日私が寝るときだけ、その子は口のなかから出て行きます。だいたいその子のことを忘れているけれど、朝それを〈装着〉したばかりの時に噛む動作をするとすこしぞわぞわする。小さいころ板チョコレートの銀紙を噛んだときのキーーンという痛みの、だいぶだいぶ手前なのだけれど、すこし似ている。
 それにつけてもあのころはなぜ、しばしばチョコレートの銀紙を噛むはめに陥ったのだろうか。今でもたまーに銀紙に包まれた板チョコを食べるけれど、まったくあのキーンという痛みを味わっていない。ちいさなころは急いでいたので銀紙をうまく剥がす余裕がなかったのであろうか。私にもそれだけの余裕は芽生えたようである。けれど基本、余裕がない。そして基本毎日、というか基本もクソもなく毎日欠かさず甘いもの食べている。そのためか口内の健康が著しく損なわれ、(中略)、歯医者に通うはめになった。その歯医者通いもなんとか一段落ついたので何よりであります。


 通う歯医者を決めるのに悩んでいたら、妹が同僚のおすすめの歯医者があると教えてくれた。その同僚はたまたま私の家の近所に住んでいて、その歯医者もうちから近かった。先生が女性だったこともあって、そこに決めて、初診の予約の電話を済ませてそれを夫に報告すると、夫は「そんな、カタカナばっかりの名前のところなんて辞めときなよ!あやしい!」と言い、さらには医院もぴかぴかで、HPもすごくきれいなつくりなのがアヤシイ!アヤシイ!と言って聴かない。ぴかぴかなのはすごく新しいところだから。夫がいろんな人からきいていたおすすめの歯医者は、HPをみるに治療や歯の健康についての解説がとても丁寧で、ちょっと古くさいつくりなのがいかにも良心的であったのだが、初診の予約は1カ月待ちと書いてあり、私の歯にはそんな猶予がない。しかもうちから2、3駅離れており、さらに駅から少し歩くので、何回も通いになると疲れてしまいそうなので断念。夫が「だまされたって知らないからね!」と言うのに私もぶち切れてその日は何も言わず寝た。

 次の日に「おまえは私が重い重い腰をあげてせっかく歯医者に通おうとしているのに、それを邪魔するのか。バカにしてるのか心配してるのか」と言ったら夫がごめんごめんと謝ってくれたので一応仲直りしたけれど、私たち夫婦はよく喧嘩するようになった。付き合いはじめた頃は「喧嘩なんかしなさそうね。お互いとても似てる感じ。柔らかい雰囲気というか」などと友人知人に言われたものだったけれど、私は育ちが悪いので叩けば乱暴なことばがぽんぽん出てくるし、夫は西のひとなのでツッコミ命のようなところがあるうえ思ったことはほとんどなんでも口に出すので、(そう、だいたい夫の周りの人は夫が関西人だって忘れている!)、こうなることは運命やったんやな・・・。負けへんで。

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