暴発おばさん
2015年3月16日ひとりの人間のなかには、何人もの人間が住んでいる、という。と言い切ってしまって、実際あまり聞いたことないなあ、と思ったので、まあ、いろんな面があるよね、と申し上げておきましょうか。私にもいろんな面があり、もしくは何人か住んでいるようなのだが、成分表をつくれば大部分はおばさんで、ひとり間違って少年がいて、女もいくらかいるような気もするが、とにかく大部分はおばさんなのであった。このおばさんが複数いるのかおおきな単数なのかは、日本語の妙なので、よくわからない。
おばさんはとにかくよく笑ってしまうひとで、自分が話しているそばから自分の話していることが面白くて仕方ない、というような滑稽なひとなのだが、きょうそのおばさんが暴発して、わはは!とひとりで笑ってしまって、いっしょに話していたひとは、ああそうですよね、という愛想笑いくらいだったという差が、間違って存在している少年にとってはものすごく恥ずかしいものだった。だからおばさんは嫌なんだ! 死んじゃえばいいのに! と少年はとかく恥ずかしがりなので、少年らしい激しい物言いをするかわりに、そのくらいの強さをこめたまなざしでおばさんをにらんだのであった。おばさんは慌てて、びっくりさせてごめんねえ、天気悪いとさあ、湿気籠っちゃっうとさあ、頭がぼうっとして、空気読めないっていうかさあ、と少年に言った。おばさんはよく笑うのと同じくらい言い訳をする。少年もわりかし言い訳をする性質なので、むしろ嫌悪感が増す。おばさんは言い訳と同じくらい開き直りもするので、そんなに恥ずかしがっちゃって、ばっかみたい、と言い捨てた。少年はもう嫌だ嫌だ、と花粉症もひどいので不貞寝する。寝てしまえばおばさんの行動にうんざりすることもないので。おばさんは誰も相手してくれないので、ああ、誰も私のことをわかってくれないんだから、と孤独をあじわう。
何もかも雨と花粉と季節の移り変わりのせい、とおばさんは言うが、おばさんは季節にも天気にも関係なく不意に暴発する。とにかくみんな笑ってくれればいいだけなのに、と反省もしないので、少年はますます恥じいるしかない。
おばさんはとにかくよく笑ってしまうひとで、自分が話しているそばから自分の話していることが面白くて仕方ない、というような滑稽なひとなのだが、きょうそのおばさんが暴発して、わはは!とひとりで笑ってしまって、いっしょに話していたひとは、ああそうですよね、という愛想笑いくらいだったという差が、間違って存在している少年にとってはものすごく恥ずかしいものだった。だからおばさんは嫌なんだ! 死んじゃえばいいのに! と少年はとかく恥ずかしがりなので、少年らしい激しい物言いをするかわりに、そのくらいの強さをこめたまなざしでおばさんをにらんだのであった。おばさんは慌てて、びっくりさせてごめんねえ、天気悪いとさあ、湿気籠っちゃっうとさあ、頭がぼうっとして、空気読めないっていうかさあ、と少年に言った。おばさんはよく笑うのと同じくらい言い訳をする。少年もわりかし言い訳をする性質なので、むしろ嫌悪感が増す。おばさんは言い訳と同じくらい開き直りもするので、そんなに恥ずかしがっちゃって、ばっかみたい、と言い捨てた。少年はもう嫌だ嫌だ、と花粉症もひどいので不貞寝する。寝てしまえばおばさんの行動にうんざりすることもないので。おばさんは誰も相手してくれないので、ああ、誰も私のことをわかってくれないんだから、と孤独をあじわう。
何もかも雨と花粉と季節の移り変わりのせい、とおばさんは言うが、おばさんは季節にも天気にも関係なく不意に暴発する。とにかくみんな笑ってくれればいいだけなのに、と反省もしないので、少年はますます恥じいるしかない。
コメント