をんな(のこ)の一生
2012年11月22日 読書
ユリイカの矢川澄子特集、長年の友人・多田智満子の語る矢川像が面白くて、いまさら衝動買い。もう亡くなって10年は絶つのかな。
多田によれば矢川はものすごくいじけたひとだったそう。若いころ矢川は多田に向かって、「私はガラスだけどあなたはダイヤモンドよねー」と評したらしい。ガラスは壊れやすく、ダイヤモンドは世界一硬い石というので、無頓着にひとを傷つけると詰りたかったらしい。なんて、面倒くさい! ちょっと私に似ている。
ほかのひとの書いたものは、澁澤との関係を抜きにして矢川は語れないと言わんばかりに書いていて、ちょっとげんなりした。佐藤亜紀が対談で「そういう話はうんざりです」とキレていたようなのが偉いなとおもう、そしてこんな半分ゴシップでできたような特集本を買ったことを後悔。ただ、矢川もサービス精神があるせいか単に無邪気なせいか、生前から訊かれれば話すようだったし、澁澤のことは別れても嫌いにはなれなかったようなので、何とも言えない。
なんとなく、男の子になりたかった人だったのかな、と思う。〈不滅の少女〉というユリイカの特集の副題、矛盾するようでいて、さもありなん。男の子になりたいとおもいながら少女でいるあり方は、べつだん珍しくない。あー、吉野朔美の「少年は荒野をめざす」の主人公と一緒ですね。女であることに葛藤したり苦しんだりしても、フェミニストにはならない。(なるべきだ!と思っているわけではないけれど)。
それにしても中絶の話がわりに出てくる。中絶について矢川の語ったことは、引用されている通りを信じるならば、気にしていなかったり腹を立てていたり、一貫性がない。いいかげんだな、というより、乗り越えられなかったというか、どう受け止めてよいのかわからなかったのかな。
そして武田泰淳も妻に中絶させていたとかいう話も書いてあって、げんなり。以前友人が「日本人って中絶に関しては罪悪感が薄いのではないかとおもう」と言っていたのをおもい出す。
そんな矢川が、結婚して子供産んで育てて死ぬ、という平凡な女の一生もの・「雪のひとひら」を好んで翻訳したのも、へんな業のような、それとも〈さもありなん〉という事態なのか、どうなのか。
それにしても、特集号の巻頭に載っている手書き原稿の童話「おみまい」の、童話の伝統にならうような結末は、ちょっとこわかった。そして四方田犬彦の論考はスウィフトの祈りの風刺・皮肉と関連付けて矢川を語っていてちょっと興味深い、とおもったら特集号を太稲子さん家に忘れた、かなしい。
多田によれば矢川はものすごくいじけたひとだったそう。若いころ矢川は多田に向かって、「私はガラスだけどあなたはダイヤモンドよねー」と評したらしい。ガラスは壊れやすく、ダイヤモンドは世界一硬い石というので、無頓着にひとを傷つけると詰りたかったらしい。なんて、面倒くさい! ちょっと私に似ている。
ほかのひとの書いたものは、澁澤との関係を抜きにして矢川は語れないと言わんばかりに書いていて、ちょっとげんなりした。佐藤亜紀が対談で「そういう話はうんざりです」とキレていたようなのが偉いなとおもう、そしてこんな半分ゴシップでできたような特集本を買ったことを後悔。ただ、矢川もサービス精神があるせいか単に無邪気なせいか、生前から訊かれれば話すようだったし、澁澤のことは別れても嫌いにはなれなかったようなので、何とも言えない。
なんとなく、男の子になりたかった人だったのかな、と思う。〈不滅の少女〉というユリイカの特集の副題、矛盾するようでいて、さもありなん。男の子になりたいとおもいながら少女でいるあり方は、べつだん珍しくない。あー、吉野朔美の「少年は荒野をめざす」の主人公と一緒ですね。女であることに葛藤したり苦しんだりしても、フェミニストにはならない。(なるべきだ!と思っているわけではないけれど)。
それにしても中絶の話がわりに出てくる。中絶について矢川の語ったことは、引用されている通りを信じるならば、気にしていなかったり腹を立てていたり、一貫性がない。いいかげんだな、というより、乗り越えられなかったというか、どう受け止めてよいのかわからなかったのかな。
そして武田泰淳も妻に中絶させていたとかいう話も書いてあって、げんなり。以前友人が「日本人って中絶に関しては罪悪感が薄いのではないかとおもう」と言っていたのをおもい出す。
そんな矢川が、結婚して子供産んで育てて死ぬ、という平凡な女の一生もの・「雪のひとひら」を好んで翻訳したのも、へんな業のような、それとも〈さもありなん〉という事態なのか、どうなのか。
それにしても、特集号の巻頭に載っている手書き原稿の童話「おみまい」の、童話の伝統にならうような結末は、ちょっとこわかった。そして四方田犬彦の論考はスウィフトの祈りの風刺・皮肉と関連付けて矢川を語っていてちょっと興味深い、とおもったら特集号を太稲子さん家に忘れた、かなしい。
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