5月5日の日記

2012年5月5日
私は銃声が聞こえて首をひっこめるときのような格好で、ただもうひざまずく。ひざまずいていれば投げ出されにくいから、ひざまずく。その間わたしの内部に何が起きているというのか。どういう問いがたてられるのか。なにも起きていないのだ。まさにそうだ。なにも起きない。もうなにもないのだ。
この不自然な状態でじっと我慢すれば、やがて朝が来る。人が義務と呼んでいるものを積み込んだ朝が来る。苦難それ自体は語らないほうがよい。肝心なのは苦難の結果なのだ。その結果とはこの場合、わたしはまだ生きているということなのだ。それ以上のことはない。「どうですか」「ありがとう。お宅はどうです」
夜わたしがひざまずいていたことから来るあらゆる印象が、霧の中に入って解消していく。
(ハンス・エーリヒ・ノサック「クロンツ」)

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