友人と「ニーチェの馬」を観に行った。20回くらいうとうとして、合計すると5分寝た気がする。

 この世の果てみたいな、なにか隔絶された地での、父と娘と、馬の生活。
丘の稜線が、丘の向こうへ想像を働かせることを拒むみたいに、画面を横切る。家の外で吹き荒れる風が、観ている私たちの耳を聾する。父娘はじゃがいもしか食べない、映画でこんなにじゃがいもをまじまじと見たのは初めて。
 馬がずんぐりしていて、農耕馬とはこういう感じの馬かな、と思った。労働と老いでくたびれて、役に立たなくなってゆく馬。
 モノクロの映像を凝視していたので、映画が終わって劇場を出て街並みをみるとすごく変な感じがした。変に浮き上がっているような、うまく言えないけれど。目に魔法かけられた。

 この世の果てとか世紀末とか、レビューにあって、なんだかしっくりこないと思ったけれど、いま世紀末かも知らないし、いつでもここがこの世の果てかも知らない、と考えてみると、それもありなのかな。
 私たちとつながっているような、いないような、へんな位相の映画だけれども、映画の魔法がびしびしあった。

 って、寝ていたのだけれど、感想をしたり顔に言うこの厚顔、すいません。
 終わったあとは、夕やみだけれど明るい街をふらふら歩いて、本屋に行ったりipodでこんな音楽はどう?と言い合ったり、ふと思い出して映画の話したりした。寒いね寒いね、と言い合い、春までの距離はどんなもんかしら、と言い合う。
 寒いとへんに、肩に力が入るような歩き方になってしまうね。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索