うそから出たまこと

2011年11月24日
 お兄ちゃんに言ったらマルチのこと知らなかった。奥さんに売りつけたら殺すって言ってた。だからちゃんと見張っておいてねって言った。大分のおばさんといい、お父さんのほうの親戚は屑だな、ろくなことしやがらない。お兄ちゃんみたいに旦那さんが奥さんの味方だったらいいよね。私お兄ちゃんと結婚したかったわ。そういえばお母さんが言ってたけど、お兄ちゃんはお母さんのそばにいるためにI土木に就職したんだってさ。お母さんは最初、別の町でもなんでももっといいところに行ったら、と反対したけど、お兄ちゃんが「あんたのそばに誰かいないとだめでしょう」と言って折れたらしいよ。いい話よね。私お兄ちゃん好き。
 私たちさっさと出てきちゃったよね。は、私は悪くない。お姉ちゃんが最初に東京に出てきて、私はいろんな都合を考えた結果、東京なんだからね。
 あそこにいたら死ぬだなんて、お姉ちゃん、そんな大げさな。別に死なないでしょ、意外となんとかやっていけたと思うよ。


 兄が母親のそばにいることを選んだ、とは美談になるけれど、結局のところ兄には、郷里はさほど居心地の悪いところではなかった。母親のそばにいるにしても、もっとやりようはあったじゃないかと思う。
 兄は頭がよかったけど、何より野心がなかった。いろんなことが積み重なって、母親のそばにいることを「選んだ」ことになってしまった。兄も嘘つきだ、と思った。
 今は、それは嘘じゃなくなった。私はさっさと家を出て頑として戻らなかったし、妹も追随して東京に安定した職を得た。私たちはもう母親のそばにはいない。兄は最初からの約束事を忠実に遂行したみたいに、郷里で安定して、彼女のそばにいる。

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